釣りキチ旅日記 (講談社文庫)



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『釣りキチ三平』の世界

 漫画『釣りキチ三平』の作者である矢口氏が、自身の釣りについて語ったもの。1975年頃から雑誌『つり人』に連載された「釣りキチ三平・釣れづれの記」をまとめたもの。
 矢口氏の少年時代の釣りから漫画家になるまで、『釣りキチ三平』のネタとなったイトウやブルーマーリンへの挑戦などが生き生きと描かれている。
 『釣りキチ三平』の連載とリンクして執筆された部分が多いようで、裏話だとか作品に込めたメッセージ、連載10年をもって完結させた理由など、色々と興味深い話題が出てきた。ファンには必読であろう。
 釣り師としての腕もかなり良いようで、特にアユの大釣りはすごい。しかし、矢口氏にとって釣りはあくまでも趣味・楽しみであり、それ以上ではないことがうかがわれる。自省、深さ、訴えかけるものには欠けるのである。そのため、釣行書としてのレベルはあまり高くないものに終わってしまっている。



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